理事長所信

公益社団法人東近江青年会議所2018年度 理事長候補者所信

まあいっぺん、やってみなはれ
相互尊重の精神で冒険の一歩を踏み出そう

第12代理事長候補者 田中 彦嗣

はじめに

今から60年前、1957年から1958年にかけて、日本は第一次南極越冬隊を派遣した。その隊長を務めたのが、近江商人にルーツを持つ学者にして技術者、そして探検家、西堀栄三郎氏である。氏は、「とにかくやってみなはれ。やる前から諦める奴は一番つまらん人間だ」まずは一歩踏み出してやってみること、失敗を恐れないことを説いている。
偉大な先人の時代から、日本は豊かになりこの東近江の地も大きな発展を遂げた。しかしながら、普遍的な豊かさは、挑戦をせずともある程度の豊かさを享受できる環境を生み出し、失敗を恐れて挑戦しない、安全確実を美徳とする風潮を蔓延させてきたのではないだろうか。今こそ、日本に活気が満ちていた時代の挑戦心を思い起こす事が必要である。
日本と地域が一直線に上昇してきた時代とは異なり、私たちを取り巻く政治的経済的環境は平坦とは言えない。だからこそ、次代を担う若者である我々が、明るい未来を信じて、地域を牽引するリーダーとして成長しなければならない。だからこそ、失敗を恐れない冒険心と挑戦心、他者を勇気づけ共に歩む相互尊重の心。即ち「やってみなはれ」の精神で、積極的なまちづくり、ひとづくり、夢づくり活動を行っていきたい。

ひとづくり~相互に学びあい、多くの仲間とともに踏み出す~

 私たち青年会議所活動は「対象者の意識を変える」事を目的としている。その中で、もっとも直接的かつ顕著な「ひとづくり」活動が拡大及び研修である。ともに学び、まちを創る仲間を集めて切磋琢磨・相互研鑽する事で、互いに成長するのだから。本年度は例年に比べて多くのメンバーの御卒業が予定されている。仲間が増える事ができる事の幅を広げるのであれば、減少は即ち今できる事が明日以降には出来なくなるという事を意味する。最終的な意思決定は「相手が有る事」だが、多くの人と会う事は努力次第でいくらでも可能なはずだ。全会員が、全てから学び互いに高めあう事が出来る、品格のある青年として成長し、その魅力を一人でも多くの知人・友人へと伝える活動を行おう。まず自分たちが未来を担う主体者として成長し、その学びを多くの人々と共有することで共鳴する仲間を集めることが出来れば、東近江青年会議所はより強く、価値ある組織になる事が出来るはずだ。

まちづくり~過去を尊重しながら、新たな一歩を踏み出す~

 青年会議所の綱領は「明るい豊かな社会」を創る事を標榜している。それはつまり、我々の活動の目指す先が、まちづくりにあるという事である。しかしながら、まちをつくる、というと大上段に鯱張ってしまうか、反対に、消極的・硬直的になってしまうかもしれない。だが、青年会議所の運動は連続性を前提として創られている。粗削りでも、この事業が続けばきっとまちがより良くなる、この事業はきっとまちをよくすることが出来るはずだ。そんな想いが本物ならば、ぜひいっぺんやってみたい。一つ一つの「まずはいっぺんやってみた」結果が蓄積される事で、運動は素晴らしいものに昇華していくはずだ。そして、東近江青年会議所には県下最長クラスの歴史を持つまちづくり事業、二五八祭がある。今や東近江市最大の祭となった二五八祭も、元は青年会議所の単独事業であり、他団体との協働も小さな「やってみた」の結晶である。この場を最大限に活用し、東近江の人々に、近江商人から繋がる尊重と冒険の精神を呼び起こしてほしい。毎年コンスタントに数万人が集まってくれる場が有るのだ。このまちづくり活動のプラットフォーム(基盤)を自由に使って想いを伝えることが出来る機会に感謝し、今年度もこのプラットフォームを活かしたまちづくりを一歩前へ踏み出し、まちづくり事業としての在り方自体をより良く変化させていこう。

夢づくり~他者を尊重し、共に前進する~

 例年、青少年対象事業として様々な事業を展開してきた東近江青年会議所であるが、近年、「東近江青年会議所の青少年対象事業」の存在感は飛躍的に高まりつつあると言える。今年度は、スポーツや事業を通して、未来を担う子供達に、友達や親だけでなく、周囲の全てを尊重し、周囲の全てから学びを得て共に成長できる精神性を養いたい。また、青少年対象事業が我々の運動のより大きな柱となる為にも、青年会議所の認知度を向上する為にも、過去の事業を線としてつなぐことで、本年度の委員長の想いを付加して提示することが出来れば、我々の夢づくり活動が線として繋がり、より多くの青少年をより良く変化させる運動へと発展するはずだ。

活動の円滑化に向けて~力強く踏み出すために、足場を固める~

 青年会議所では様々な活動が行われている。しかし、様々な非営利団体がひしめくこの時代にあって、まず青年会議所が特異な価値を持ち続ける努力を重ねることが必要である。そして、一人でも多くの市民に東近江青年会議所への興味と関心を持っていただかなければならない。会議を重ね、皆の総意として行われた事業の結果をチェックするまでの過程を、我々独自の価値として磨き、その成果物である事業と効果を対外に積極的に発信する事が必要である。また、既に存在する各種団体や個人との繋がりを、さらに太く洗練する努力も必要となる。多くのつながりが青年会議所の大きな魅力の一つなのだから。また、日々の会議と運営の円滑化には、様々なルール作りや改善が欠かせない。また、青年経済人としてふさわしい活動を維持するために、全メンバーの健康増進を図る取組を展開したい。青年会議所の運動は過去の軌跡を尊重するものであるが、同時に、未来に向けた改善を重ねる事が必要である。

東近江青年会議所のさらなる飛躍に向けて~青年会議所として価値向上を目指して歩む~

 東近江青年会議所は、滋賀ブロック大会の開催・10周年を超えて新たな飛躍の時を迎えている。規模的にも質的にも、大きく飛躍する準備が整いつつある。青年会議所の大きなメリットの一つに、世界にまでつながる組織体によるスケールメリットがある。また、地域での各種団体や世代間のつながりや信用も大きなアドバンテージであると言える。我々の行う交流活動は、青年会議所が持つ様々な強みについて理解認識を深める機会であると同時に、互いの情報が共有化され、各会員がそれぞれに次のステージを見据える機会であるべきだ。そうして互いの目線を上げあう事が、東近江青年会議所の名を広く発信する好機につながると考える。意欲を持った会員に、「奉仕・修練・友情」を育む機会と、様々なステージへのアクセスを提供する事で、東近江青年会議所は更に価値のある団体へと進化する事が出来るはずだ。本年度はその第一歩となるために、窓口となる委員会を設置して、より大きな視野を持った青年会議所への進化の足掛かりとしたい。

結びに

 私は、我々を若い商人であると再定義したい。三方よしを始めとした商売で財を成し、歴史に名を残した先人も、最初は確信等無かったのではないだろうか。多くの困難と、大きなリスクを前に「まあいっぺんやってみたろ」と、時に気楽に、時に豪胆に成功への道を進んだものだと思う。常に新たなことに挑戦し、新たな道に向かって冒険の一歩を踏み出すのが、商人の生き方である。
青年会議所は、この地域を牽引する青年が成長する場である。多くの困難や挑戦の中で、最高の体験の場である。失敗しても、それを糧に次の一歩を踏み出せばいい。怖いのは、今この時を不完全燃焼で終える事だけだ。恐れずに新たな一歩踏み出そう。互いに尊重の心で高めあおう。「まあいっぺん、やってみなはれ」

公益社団法人東近江青年会議所 2018年度スローガン

まあいっぺん、やってみなはれ
相互尊重の精神で冒険の一歩を踏み出そう

基本方針

一、相互に学びあい多くの仲間とともに踏み出す会員拡大・会員研修
一、過去を尊重しながら、新たな一歩を踏み出すまちづくり
一、他者を尊重し、共に前進する青少年育成事業
一、東近江青年会議所が力強く踏み出すために、足場を固める総務・広報事業
一、青年会議所として価値向上を目指して歩む交流・渉外活動